2016年12月6日
我々の医療人文学は「癌研究」に特化したものではありませんが、放射能まみれになってしまった日本(本当言うと、東アジアからアメリカ西海岸までの広大な地域)においては、最早この分野が喫緊の課題であることは、間違いないでしょう。
その上で、スーパーコンピューターによるビッグデータ解析から進捗した癌遺伝子系の研究を筆頭に、近年急速に革新的なアイディアの研究が登場して来ました。
リンク記事も、その一つで、近赤外線によって癌細胞膜を溶解させるというもの。
従来は、癌細胞特異的な治療法が無く、健全な通常の細胞も破壊してしまうので、生物学的には免疫系をも破壊してしまうことになり、ホリスティックな観点からは自殺的な方法ばかりで、その点が大問題だったわけですが、ここに来て、癌細胞特異的なアイディアが、ようやく出て来て、「癌研究」それ自体としては、全くの別次元・別段階の時代に突入したと言っても過言ではないでしょう。
さて、リンク記事の研究は、日本人????の研究だということで取り上げられたものですが、研究機関はアメリカ????の国立機関だというところもポイントです。
その上で医療人文学的観点からの感想です。
当該研究は、転移した癌細胞については免疫系のT細胞、B細胞、NK細胞などのみに頼るというスキームなので、未だ限定的な事と(T-regを崩壊させるという事なので、厳密にはT細胞のみに頼るということのようですが、癌細胞に最も有効なのはNK細胞なので、将来的には制御系NK細胞の発見とそのブロックという方向で研究が進展する必要があるのではないでしょうか?)、近年主流の癌遺伝子へのアプローチがないことで、もう少し研究の「成熟」までに時間がかかりそうですが、個人的にはヒントになる御研究のようです(私の個人的な医療人文学(未だチーム構築が充分に進捗していないので、ミニマムに記述せざるを得ません)の枠内では、cancer biologyについては、現時点では免疫系からのアプローチを中心に考えています。例えば特殊な方法で培養・作成した癌細胞特異的なNK細胞を癌組織に直接注入するなどの方法です(癌細胞組織には新生血管があるので、ここから注入するのが理想です)。しかしながら予測的には、この方法で全ての癌細胞を死滅させることは難しいと考えています。つまり癌細胞組織を一時的に縮小させても再増殖してしまいます。現在出てきている治験段階の最新の癌治療法は、皆この限界性を孕んでいます。将来的には、この限界点を乗り越えるアイディアが出てくる必要がありますが、恐らくそれは、免疫系からのアプローチとは全く異なる発想のものだと考えています)。
とりあえず、リンク記事のアイディアについては、ネイチャー誌の元論文を読んで、その上で更に詳細なレポートを考えてみたいと思います。
医療人文学の役割は、各研究チームが、それぞれ個別に進めている方法論を全般的に見渡して、架橋出来るアイディアについては、架橋しつつ、より有効なアイディアの可能性を随時提案していくことだと考えています。
つまり、難攻不落な高山の有効な登頂ルートを指示するために、上空から空撮などをしながら、どのチームにとっても有用性のあるルート見取図を描いてみせるような役割です。
追記:日本国内の場合ですと、科研費などの競争的資金は、現在「癌研究」の分野に、最大規模の額が投入されていますが、国立がんセンターなどの御高齢の教授などに年間数千万単位で投入されても、地位が安泰過ぎるのか、ラボに秘書を何人も雇うなどして、実態的には何をしているかというと、毎日秘書にケーキ??や高級紅茶を買って来させて、のんびり世間話などをして、悠々自適に日が暮れるという、研究モチベーションゼロのラボがあまりにも多いのが、悲しい実情です。
これでは、国民の血税のロスにしかならないので、「医療問題」を専門に扱う別の医療人文学の研究チームの方々(現在、科研採択されている医療人文学系研究チームは我々以外に2チームが存在します)には、是正する方途を考えていただきたいところです。
近赤外線でがん細胞が1日で消滅、転移したがんも治す ――米国立がん研究所(NCI)の日本人研究者が開発した驚きの治療とは | Mugendai(無限大)
